レーザー加工を行う上で、一番起こりえる問題として、熱レンズ効果があげられます。
熱レンズ効果とは、レーザー光が物質に吸収されることで、温度が上昇し、密度や屈折率が変化する現象をいいます。
ランプ励起式YAGレーザーの場合、熱が溜まりやすい箇所(YAGロッド中心部)と熱が溜まりにくい箇所(YAGロッド外側)で温度分布に差異が生じます。
すると、中心部の屈折率が外側の屈折率よりも大きくなり、両凸レンズのような特性を持ってしまいます。
この熱レンズ効果により、レーザーの広がり角が変化し、焦点位置が変わる事で加工品質を不安定にさせる要因となります。
またこの熱レンズ効果は、繰返し周波数(PPS)によって変化するので、微細溶接や焦点がシビアな溶接に関しては、重要な問題となっています。
この熱レンズ効果は、保護ガラスでも発生する場合があります。通常透過性の高いものを使用していますが、保護ガラスの汚れや溶接時のヒュームなどが原因で、そこから発熱し熱レンズ効果が発生します。
保護ガラスの取扱いにも注意が必要になるので、定期的にクリーニング、交換を実施する事を推奨します。
弊社が取り扱っているYAGレーザー溶接機【UJシリーズ】ではこの熱レンズ効果を抑制する為、YAGロッドの結晶温度を一定にする工夫をしています。
また高出力で、微細溶接を行うアプリケーションや焦点がシビアなアプリケーションなどは、熱レンズ効果が少ないファイバーレーザーを推奨しています。
弊社では実験室も完備しており、サンプル実験は無償で対応していますので、溶接でお困りの際は是非当社までお問い合せ下さい。